• 金森 亨

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2020年1月末現在)

更新日:2020年3月4日

【米ドル】・・・対円

1月は往って来いの展開でした。

といっても、値幅は相変わらず小さく、108近辺から110台前半の2円程度にとどまっています。

月初、108円台後半で寄り付いたドル円はイランによる対米ミサイル攻撃の報道に、一旦108円を切る水準まで下がりましたが、その後は米中貿易交渉の一段落など政治リスクの緩和を受けて株式相場が堅調に推移したことなどを背景に値を戻し、中旬には110円台に乗せました。

その後は、新型コロナウィルスの脅威から今後世界経済が停滞するのではないかとの懸念に安全通貨である円が買われ、再び108円台前半まで弱含んで月末を超えました。


【ユーロ】・・・対米ドル

1月は弱含みました。

月初、高値の1.12台前半から始まり、その後はイラン情勢のさらなる悪化(米基地へのミサイル攻撃)から、これに深く関わるEUの立場からユーロが1.10前半まで売られました。その後は、少し戻す場面もありましたが、新型コロナウィルスによるバンデミックリスクへの不安から1.09台半ばまで売られました。ユーロ圏経済は中国に少なからず依存しているため、新型肺炎で中国経済が打撃を受けるとなると、その影響が大きいと見られたからです。

月末は1.10台まで戻して超えました。


【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

リスクを避けようとする動きが活発です。そうなると逃避先通貨である円が買われ、ドル安円高になる圧力がかかります。ではどんなリスクか。最近は米中貿易摩擦やイラン情勢、それに英国のEU離脱がリスクとなっていました。

このうち英のEU離脱は1月末に離脱が実現したため今後は年末までにかけて行われる移行期間中の交渉に焦点が当たることになります。しばらくは小康状態といえそうです。また、米中貿易交渉は一部合意がなされたことからこれも短期では影響力が弱まりました。しかし、イラン情勢についてはリスクが高まっています。互いに牽制して最悪事態は避けつつも、米大統領選を前になにをやかすかわからないトランプリスクが伴います。

これらのリスクに加え、新型コロナウィルスによるパンデミックリスクは世界経済を押し下げるだろうとされており、新たな、しかも結構大きなリスクとなりそうです。

ただ、一方で逃避先としての円の魅力もどうやら薄れているようです。ドル円の値動きがあまりにも小さいので買いに行く動機も薄くなったといえそうです。そのため、政治リスクが高まっても、以前のようにガンガンと円高になるという地合いではありません。

となると、見ておかなければならないのは経済ですが、これもあまり状況は変わっていません。米FOMCは29日、政策金利据え置きをを全会一致で決めていますし、対する日銀は21日の政策決定会合でじゅうらいの緩和策継続を決めています。新型コロナウィルスなどで世界経済が停滞するようなことになると、米FRBは金利引き上げ余地を失うでしょうから、日米金利差は広がりません。

以上から、値動きは大きくないが、相場への圧力は円高ドル安に働くと見ます。


ユーロドル ・・・

コル円同様、ユーロドルに関しても、イラン情勢や米中貿易摩擦、新型肺炎は下押しリスクとして考えておかなければなりません。ユーロ圏経済が中国経済に大きく左右される(いままでも左右されてきた)ことを考慮するなら、米ドルや円への影響より下押しリスクが高いと言えそうです。

ただし、足元ではドイツに牽引される形で、ようやくユーロ圏経済が落ち着きを取り戻し始めたようです。なので、問題はこの足元の経済力と政治リスクのせめぎ合いです。どちらかというと、下押しリスクが活用に思われます。

これに対して、欧州中央銀行(ECB)はどう動くかも気になるところですが、あまり期待できそうにありません。1月のECB理事会では今のスタンスを維持し、一方でその後方針を検討するための検証作業を始めるとしています。期間は年内から年明けとみらており、その間は大きなスタンスの変更はないでしょう。

他にも、英のEU離脱の移行期間内での交渉も重要です。どんな形で決着するかも気になりますが、離脱した英が結構うまくやっていくようなことになると、超長期的にはEUの体制崩壊につながる可能性もでてきます。


【短期的な材料(1ヶ月前後)】

1. 新型コロナウィルスへの対応状況:中国経済の萎縮から世界経済への影響を懸念

2. 米中貿易摩擦 :見通し悪ければ、中国経済の萎縮、世界経済後退懸念から円(リスクオフ通貨)買い進行

3. 米とイランの関係:緊張が続くなら円への逃避から円高。

4. 米FOMCの金融政策方針の変化:利上げ余地の有無と利下げ見通しにより日米金利差の拡大・縮小に影響

5. 中国はじめ新興国の経済失速、株価動向→心理的な不安がリスク回避行動となり、円買いに流れる。


【中期的な材料(数ヶ月)】

1. 米中貿易戦争や政治リスクの高まりに伴う世界景気減速懸念:懸念高まれば円買い材料に

2. 新型コロナウィルスによる世界経済の萎縮により、リスクオフ通貨円の対ドル強含み、中国経済に依存するユーロの対ドル・対円弱含みにつながる可能性あり

3. 円投による外債投資・外貨投資の積み上がり:相場動く気配により円高リスク。

4. 米政府が注目する円の実質実効レートの動向 :貿易赤字解消を目的に米が割安円を指摘

5. ユーロ圏経済の動向 :2019・20年成長率見通しは下方修正、弱いファンダメンタルズのほか、金融再緩和からもユーロ売り材料

6. 米長期金利の動向 :米経済が堅調なら長期金利も安定し、ドル高円安要因となる


【長期的な材料(数年)】

1. 今後の政治情勢で、国際的な分断が進行するなら、貿易の委縮に伴って世界経済が停滞し、リスクオフ通貨円が相対的に強く

2. トランプ政権の経済政策の好効果後の悪影響や反動(保護貿易によるコストプッシュインフレ、大型減税に財政圧迫)の相場への影響

3. 英のEU離脱後の状況:経済的ダメージが予想より小さければEU体制に悪影響。

4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下⇒財政破綻⇒超インフレ(円安)。

5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

以上

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