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  • 執筆者の写真金森 亨

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2020年10月末現在)

【米ドル】・・・対円

10月は軟化しました。

105円台半ばで始まったあと、財政政策への期待から長期金利が上昇してドル円も買われ一時106円台を回復しました。

しかしその後は欧州での新型コロナウイルス感染再拡大、米大統領選挙の予想でバイデン氏とトランプ氏の支持率差が縮小していることによる不透明感から弱含み、105円台まで下落したのち104円台半ばで月末を超えました。

11月の米大統領選はバイデン氏の勝利となる中、FRB議長が追加施策を示唆すると金利低下予想からドルが103円台前半まで売られましたが、その後はワクチン開発期待から株価とともに米ドル買いが進んでいます。


【ユーロ】・・・対米ドル

10月は月末に売られました。

1.17台前半で寄り付いた後、英国とEUの交渉が継続されて交渉決裂リスクが薄まったことなどから1.18台後半まで強含む場面がありましたが、月末にかけては、新型コロナウイルス感染再拡大を受けて仏や独が経済活動に再び制限をかける動きをしたことから1.17前半まで売られて月末を超えました。

11月に入ると、米ドル安円高の要因ともなったFRB議長の追加施策示唆により1.18台後半まで買われた後、1.18近辺で推移しています。


【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

米大統領選ではバイデン氏が勝利をおさめたが、議会の勢力図は依然不透明のまま。下院は民主党が予想通り過半数を獲得したが上院では来年の1月まで結果判明を待たざるを得ない状況です。

議会が民主党主導となるなら、バイデン氏の政策が円滑に通り、財政が出動してリスクオフからドル高円安の予想が立ちます。

しかし、議会がねじれるなら、小さな政府を志向する共和党の抵抗にあって財政出動が難しくなり、その対応として低金利政策を継続することなり、その場合は日米金利差縮小からドル安円高が予想されます。

また先月書いたコロナ後サプライチェーン見直しに伴う対外投資引揚げや国内需要活発化が進むと円高が進むと予想されます。もっとも、活発になるにはまだまだ時間がかかりそうですが。


ユーロドル ・・・

欧州復興基金合意や英国の対EU通商交渉継続などの好材料が重なった先月までと異なり、今後は、新型コロナウイルス感染再拡大が深刻化していること、これを踏まえて欧州中央銀行(ECB)が利下げするとの観測があることから、ユーロは米ドルに対して弱含むと予想される。

欧州復興基金の進捗とその将来にあるEUの財政統合など好材料はしばらくお預けとなりそうです。


【短期的な材料(1ヶ月前後)】

1. 米FOMCの金融政策方針の変化:コロナウイス対策としての利下げ状況~金利差縮小から円高

2. 新型コロナウィルス対策からの経済再開 :流動性確保緊急性低下からドル売り、円など他通貨買い

3. 新型コロナウイルスワクチンの開発状況:期待が高まるとリスクオフから米ドル・ユーロ買い円売り

4. 新型コロナウイルス感染爆発によるドル流動性需要の高まり : リスク高いほどドル高

5. 欧州中央銀行(ECB)の金利政策:コロナ感染再拡大への対応として利下げするならユーロ安



【中期的な材料(数ヶ月)】

1. 新型コロナウィルス感染拡大・収束状況:収束長引けば各国金融追加緩和で金利差縮小から円高。

2. 米大統領選挙でバイデン氏勝利するも、議会ねじれから財政出動できず、代わりに低金利策がとられることによって日米金利差縮小しドル安円高

3. 米中貿易戦争や政治リスクの高まりに伴う世界景気減速懸念:懸念高まれば円買い材料に

4. 米政府が注目する円の実質実効レートの動向 :貿易赤字解消を目的に米が割安円を指摘


【長期的な材料(数年)】

1. コロナ後の環境変化:グローバル化修正、産業構造の変化、対中デカップリングなどに注意。

2. 米大統領に就任するバイデン氏の政策により増税、財政出動が多くなれば長期金利が上昇して米ドル堅調。

3. EU復興基金創設の成否:コロナ後のEU財政統合を占う大事な材料。

4. 日本:貯蓄率低下・国債残高膨張による国債消化力低下⇒財政破綻⇒超インフレ(円安)。

5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)


以上

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