• 金森 亨

外国為替相場推移と今後の為替動向判断材料(2020年9月末現在)

【米ドル】・・・対円

9月は一時104円まで売られました。

月初106円近辺で始まったドル円は中旬に104円台を切りそうな水準まで売られ(ドル安円高)ました。理由は日米の金融政策スタンスです。

16日の米FOMCではインフレ率が2%を超えるのを容認したことから政策金利も当面は低金利で推移するとの見方が広がったこと。一方の日銀は17日の政策決定会合で金融政策維持を決めたものの、やはりFOMCの2%超容認の方がインパクト大きく、日米金利差縮小を材料とするドル売り円買いが進みました。

しかし、その後は間もなく105円台を回復し、結局105円台半ばで月末を超えています。

日本の政権交代の相場への影響は限定的でした。

【ユーロ】・・・対米ドル

9月は少し弱含みました。

7月の欧州復興基金合意を材料に米ドルに対して大きく買われてきたユーロは9月もその勢いを受けて1.19台半ばで始まりました。

しかし、その後は往ったり来たりしながら徐々に値を下げ、下旬には1.16台前半まで弱含みました。月末にかけては少し戻して1.17台前半で月を超えています。

弱含んだ背景には下記が考えられます。

➀ 欧州復興基金合意への評価の興奮が冷めたこと

② 英国・EU間の通商交渉がここへきて暗礁に乗り上げかかっていること(ブラウン英首相が駆け引きに出て、 北アイルランドに関わる合意を反故にする法案を提出しEUがこれに反発)

③ 新型コロナウイルス感染が再び拡大していること

【今後の短期~長期予想】

ドル円 ・・・

日米金融政策スタンスは当面維持されると予想されることから、ドル売り円買いの圧力は今後も変わらないだろうと思います。

他に下記2点を特筆しておきましょう。

➀ 米大統領選挙

今のところバイデン氏が優勢のようですが僅差であり、トランプ再選可能性もあります。仮にバイデン氏なら 民主党のコロナ対策では財政出動にあまり積極的ではないことから金融政策に頼らざるを得ずその場合は 低金利継続で日米金利差縮小環境が続き円高要因。トランプ再選なら財政の大盤振る舞いの一方で利下げ 圧力も強いままだから、結局円高要因。

② コロナ後日本企業のサプライチェーン見直し

6月の日経「社長100に聞きました」では、コロナ後にサプライチェーンを見直す企業が73%。見直し方は様々 ですが、国内回帰という企業も多いでしょう。そうなると、国内資金需要が旺盛となり、外債投資していた金融 機関が資金還流させて円を買うほか、昨年は盛んだった企業の対外直接投資(円安要因)も少なるなると思 いますので円高要因。

ユーロドル ・・・

9月のユーロ相場を弱含ませた3つの要因から当面はこの傾向が続くと思われます。

しかし、英・EU通商交渉はどちからへ着地するでしょうし、コロナ感染拡大も知恵を結集していずれ終息するはずです。

その上で、欧州復興基金が期待を裏切らない形で運用され、長期的に将来のEUの在り姿を形作っていくようなら、徐々にではありますが、ユーロ高に向かうと思います。

もちろん、基金がこれを裏切るなら逆の動き。いずれにせよ、この基金をきっかけにしてEUが統合に向かうか否かは超長期的なユーロ評価に大きく関わってきます。

短期では、欧州中央銀行のラガルド氏はユーロ高に対する警戒感が強いようですから、ユーロ高の局面では政策金利など低め誘導を図っていく可能性があります。

【短期的な材料(1ヶ月前後)】

1. 米FOMCの金融政策方針の変化:コロナウイス対策としての利下げ状況~金利差縮小から円高

2. 新型コロナウィルス対策からの経済再開 :流動性確保緊急性低下からドル売り、円など他通貨買い

3. 米大統領選挙:バイデン氏なら増税不安などから市場落胆し、金融緩和依存からドル売り圧力。

4. 新型コロナウイルス感染爆発によるドル流動性需要の高まり : リスク高いほどドル高

5. 英・EU通商交渉:決裂はユーロ売り圧力。決着なら不安材料払拭からユーロ買い。

【中期的な材料(数ヶ月)】

1. 新型コロナウィルス感染拡大・収束状況:収束長引けば各国金融追加緩和で金利差縮小から円高。

2. 米大統領選挙:新大統領の経済政策に注目(貿易、財政など)

3. 米中貿易戦争や政治リスクの高まりに伴う世界景気減速懸念:懸念高まれば円買い材料に

4. 米政府が注目する円の実質実効レートの動向 :貿易赤字解消を目的に米が割安円を指摘

【長期的な材料(数年)】

1. 新型コロナウイルス終息後の国際経済相互依存リスク回避の動き:対外直接投資や貿易取引縮小し為替裁定取引縮小するため金利差等による投機行為が少なくなり、より実需に影響を受けるように。

2. コロナ後の環境変化:グローバル化修正、産業構造の変化、対中デカップリングなどに注意。

3. 今後の政治情勢で、国際的な分断が進行するなら、貿易の委縮に伴って世界経済が停滞し、円キャリー取引巻き戻しによる円高

4. EU復興基金創設の成否:コロナ後のEU財政統合を占う大事な材料。

5. 本邦人口減少が進行するなら人口オーナスによるデフレ効果で円高(購買力平価説)

以上

閲覧数:4回0件のコメント

最新記事

すべて表示

【米ドル】・・・対円 8月は円安が進みました。 月初133円台前半で始まった後、米製造業景気指数が弱かったことやインフレより景気後退を心配する向きが出てきつつあったことから、一旦130円台前半まで値を下げました。その後発表れた米消費者物価指数も市場予想を下回り、FRBの利上げもそろそろ一服かという見方から、133~135円の範囲で推移しましたが、その後は反転しました。 反転したのはやはりFRBの利

【米ドル】・・・対円 7月はピークを付けた後、円高方向へ進みました。 月初135円台後半で始まったあと中旬に140円目前までドルが上昇しました。ドル高材料は、米雇用統計と消費者物価指数です。毎月上旬に発表される米雇用統計は良好の場合は景気情報を意味するので金利上昇の原因になります。今月は市場予想を上回り、これが金利とドルの上昇要因となりました。 もう一つは13日発表された消費者物価指数です。前年比