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​読書要約

第1部 マネジメントの務め

0章 はじめに

  • 権威として表現される体制や組織を批判してこれに反逆し、自分の思いのままに動くというのが当代の流行だ。しかし、本書はこれに反し、責任と成果を重視している。

  • その組織の成果をあげさせるのは、経営者とマネジメントの仕事である。本書では、マネジメントの技能、ツール、手法に触れながらマネジメントの務めに焦点を当てる。

1章 マネジメントの誕生

  • 1900年頃は、主な社会活動を担う基本単位は家族であり、組織は極めて少なかったが、次第に組織に雇われる生き方が中心になり、組織を機能させるためのマネジメントが必要になってきた。

  • マネジメントは起業、大学、病院、政府機関など近代組織の特有のものである。また、マネジメントは職能であり、専門領域であり、果たすべき務めである。

  • マネジメントは公的機関など様々な組織で行われるが、以下の理由から企業のマネジメントを中心テーマに据える。

  • 近代的な組織のさきがけとなったのが企業だから。

  • 「収益性」という尺度を備えているから。

2章 マネジメント・ブームとその教訓

  1. マネジメント・ブームの到来

    • 第二次世界大戦中に米国のメーカーが勢いを増したことがきっかけとなり、実践的活動、専門領域、社会、経済、倫理に関するテーマとしてマネジメントが認知された。

    • 英国では、戦後初の労働党政権が、経済立て直しの為にマネジメントを利用した。

    • 戦後、欧州復興計画にマネジメントが活用された。

  2. 発展途上国でのマネジメント

    • マネジメント・ブームは先進国において以上に発展途上国で影響を与えた。:経済学では、発展は貯蓄と投資によって成されると考えられたが、実際にはそれだけでは不十分で、マネジメントにより経済・社会の発展がもたらされた。

  3. マネジメント・ブームの終焉

    • 1967年の「新しい産業国家」(ガルブレス)と1968年の「アメリカの挑戦」(シュレベール)に対して、「楽観的すぎる」との見方が広がり始め、ブーム終焉の兆しが現れた。

    • 1971年のドル危機がきっかけの一つとなり、ペン・セントラル鉄道、ロッキード、ロールスロイス等の苦境が専門的経営者のイメージを崩し、蓄積された知識が時代遅れとなった。

  4. 教訓、専門家集団を超えて、

    • マネジメントは、洋の東西を問わず、組織の使命を考えて目標を定め、達成すべき成果を見据えて経営資源を手配するという共通の務めを果たす普遍的な職能であるという理解が進んだ。

    • マネジメントの本質は知の探究ではなく実践にある。重要なのは技能や手法等の知識ではなく、成果である。

  5. マネジメントの起源と歴史をめぐる覚え書き

    • ジャン=バティスト・セイ(1767~1832)が企業家を研究した。

    • アンリ・ド・サン=シモン(1760~1825)は組織の出現を強く予見した。

    • アレクサンダー・ハミルトン(米1757~1804)「製造業に関する報告書」で組織協調。

    • ロバート・オーエン(英1771~1858)自身の繊維工場での取り組み。

    • アルフレッド・マーシャル(1842~1924)が、マネジメントを生産要素の1つに数えた。

    • ヘンリー・タウン(米1844~1924)マネジメントの仕事と成果の関係に問題意識。

    • ゲオルグ・ジーメンス(独1839~1901)大規模組織での経営陣の役割を検討。

    • 渋沢栄一(1840~1931)企業と国家目標、企業ニーズと個人倫理の関係を問うた。

    • フレデリック・W・テイラー(1856~1915)労働作業を研究した。科学的管理法

    • アンリ・ファヨール(仏1841~1925)企業組織に関する合理的アプローチ、職能原理。

    • ヴァルター・ラーテナウ(独1867~1922)大企業が果たすべき貢献と責任を研究。

    • オイゲン・シュマーレンバッハ(独1873~1955)学問分野「経営学」を開拓した。

    • ヒューゴ・ミュンスターバーグ(1863~1955)マネジメントに行動科学を応用。

    • ピエール・デュポン(1870~1954)、アルフレッド・スローン・ジュニア(GM1875~1966)が大企業の組織原理を考案した→分権制の原理

    • ギルブレイス夫妻(米、フランク1868~1919、リリアン1878~1972)組織形態。

    • メアリー・バーカー・フォレット(米1868~1933)、チェスター・バーナード(米1886~1961)意思決定プロセス。建前上の組織と内側からみた組織の関係。

    • シリル・バート(英1883~1972)、エルトン・メイヨー(豪1880~1949)人間関係論。

    • ジェームズ・マッキンゼー(米1889~1937)、リンドール・アーウィック(英1891~1983)事業方針や経営組織等の範囲まで広げたマネジメント・コンサルティングに取り組んだ。

3章 新たなる挑戦

基礎分野における新しい知識の必要性

    • マネジメント・ブームは精緻化、追加、修正といった作用を果たしたが、創造の役割は果たさなかった。ブームの土台となった知識だけではもはや十分ではない。

    • 従来のアプローチは、生産要素の労働に焦点を当てたが、土地、労働、資本の3つの要素全てを結びつけて生産性最大化するプロセスを生み出すことが重要。

    • また、マネジメントを活性化させるには、経済学上の生産要素の活用のみならず、人間の活力や熱意が重要で、それを生み出して方向付けを行うのが、マネジメントの務めだ。

  1. 分権制を超えて

    • 分権制は事業の進め方が決まっている場合に最適であるが、業務革新を進める組織には最適ではない。

    • 新たなモデルが必要だ。

  2. 人材マネジメントからリーダーシップの発揮へ

    • 雇用の繰り返しや、労働環境などの人材マネジメントだけでは十分ではない。

    • 人材を資源や機会として捉え、管理するより率いる、統制するより指示を出す、リーダーシップを発揮しなければならない。

  3. 知識と知識労働者

    • テイラーの功績により、肉体労働者の生産性は研究され理解するところとなった。

    • しかし、これからは知識の生産性の向上が大切だ。産業技術者・知識労働者の生産性が何かについては未だ解答がないが、これにより仕事の仕組みや組織の在り方などが根本から変わることは確かだ。

  4. 国・文化や個人の精神とマネジメントのかかわり

    • 企業マネジメントには国際性が求められ、国や国民に特有の文化的伝統を活かしたマネジメントを学ばなければならない。

    • また、個人のニーズ、願い、可能性等に合った組織づくりをするためにマネジメントを向上させる必要性が高まるだろう。

4章 マネジメントの諸側面

  1. マネジメントの3つの務め

    • 組織の具体的な目的と使命を果たす。
      組織は社会において特定の役割を果たす為に存在する。
      企業とそれ以外の組織ではその役割は異なる。
      企業の使命は経済活動だ。

    • 業務の生産性を上げ、働き手に達成感を得させる。
      組織の真の資源は人材だけ。成果を上げるには人的資源から生産性を引き出す。但し、人的資源はモノではなく、人格や市民権を持ち、責任、士気、満足、地位、役割等を求める存在だと心得ておく必要がある。

    • 社会への影響に対処し、社会的責任を果たす。
      組織は地域共同体や社会との関わりを断って存在することはできない。

  2. の他の側面

    • 時間軸
      マネジメントは現在と将来の両方を視野に入れなくてはいけない。その理由は以下の2つ。

      • 足元の業績である現在と、成長や変革への布石である将来の両方を同時に見る。必要がある。

      • 判断を下してから、その結果が現れる期間。現在ではこれが10年20年と長期化している。

    • 既存事業遂行と新規事業開拓
      成果のあがっている既存事業をつづけながら、将来の繁栄への礎を作る。

  これらをうまく融合させることも経営全般をついこうするために必要となる。

  「組織は戦略に従う」~組織を設計する為には、使命、目的、戦略を

  理解する 必要がある。

 

5章 企業のマネジメント:シアーズ・ローバックの事例

企業とは何か、企業マネジメントとは何を意味するかを理解する為、理論化を進めるよりまず、実在の企業行動を見てみる。

  1. シアーズ・ローバックの成長過程

    • 19世紀末~20世紀初め、農村部の市場を開拓した。~ジュリアス・ローゼンワルド氏

   a. 農村部は、ほかと切り離された異質な市場があると気付いた。

   b. 彼らのニーズとウォンツに応える商品を生み出して販売する為、以下の
      イノベーションを行った。

  • 体系的な商品政策を立案。

  • 農民は大都市に買い出しにでかけられないため流通カタログを用意した。

  • 返品を許容するサービスを行った。

  • 通販工場により、大量の注文を低コストで処理する方法を作った。

  • 人材を集めて組織を築いた。

  2. 1920年代半ば、形成されつつあった広大な都市市場に対応する為、店舗販          売へと軸足を移した。~ロバート・E・ウッド氏

   a. この市場は、25年前の農村と同様にまわりから隔絶されていたが、          中・上流階層と同じ商品への思いがあった。

   b. 店舗販売への参入が、組織面でのイノベーションをもたらした。

  3.  その後も人口動態の変化に合わせて、何度も市場を定め直した。

             a. 家庭が求め、欲する商品を十分な情報を基に、企画生産する役割に                    重心を移していった。

             b. もはや、商品を切り口にして自社の事業を見るのではなく、中流家庭                    のニーズ・ウォンツ満足を中心にそえた。

  4.  シアーズ事例の教訓

  • 何が正しいかは、結果が出る前には決して分からないこと。

  • 正しい答は直感からではなく、適切な問いかけから導き出される。そのため、自社の本質を体系的に理解しようと努めなければなない。

​  続きは随時掲載してまいります・・・・

6章    企業とは何か

 (1)    利潤動機という概念の怪しさ
    ①    シアーズ事例は、企業が外界の力でなく、人によって創られることを

       示している。マネジメントは環境に順応するだけではなく、それを自ら主

       体的に左右しなければならない。
    ②    また、企業は利益をあげるための存在ではない。利潤は軽視できない

       が、利潤最大化が目的ではない。経済活動のリスクを補い損失を避け

       るだけのものがあれば社会貢献できる。
 (2)    企業の目的は、

    「顧客を生み出すこと」(潜在的欲求を有効需要に変えてはじめて顧客と市

    場が誕生する)である。社会から託された資源を使って顧客のニーズに応え

    る。その役割は、マーケティングとイノベーションに限られる。この両者だけが

    この目的を果たす上で成果をもたらす。
    つまり、企業活動とは、マーケティングとイノベーションを通して顧客を創造す

    ることだ。
    ①    マーケティング
       a.    マーケティングは1650年頃の日本で、三井家創始者が考案した。

          彼は顧客の為の仕入役を担い、顧客にふさわしい商品を

          企画した。
       b.    狙いは、販売努力を不要にすること。顧客を知り、何もしなくても

          売れる、顧客にふさわしい製品やサービスを提供するのがその

          目指すところである。
       c.    販売(当社の製品を出発点に当社の市場を探す)から、

          マーケティング(顧客が求めるものを出発点とする)へ。

          何を売りたいかではなく、顧客は何を探し求めているか
    ②    イノベーション
       a.    マーケティングだけでは成功はない。制的な経済はブローカーか

          何の価値も生まない投機家だ。そこで新しい満足を生むイノベー

          ションが必要
       b.    イノベーションとは、より大きな富を創造できる新しい力に、

          人材や原材料を充てることであり、従来とは違う製品やサービスを

          生み出して新しい満足の可能性を開くことである。(発明ではなく、

          経済的・社会的イノベーションだ)

 (3)    生産性

     企業は、この目的を果たす為、富の創造につながる資源を最大限に活かし

     て生産性を向上させなければならない。生産性=最小限労力で最大限産

     出を得るための全生産要素の組み合わせ(一人当たり、或いは時間当た

     りの生産性という旧来の尺度とは異なる)で、単に肉体労働だけではなく、

     以下のような要素がある。

     ①    資本設備、機械の力 :肉体労働の変わりを果たすもののひとつ。

     ②    知識(とりわけマネジメント) :目に見えず費用として計上されない

        が、最大の効果。
     ③    時間や製品ミックス
     ④    プロセス・ミックス:部品調達方法、社内組立か外部委託、自前流通

        か卸か等の組合せ
     ⑤    組織のつくりや事業活動のバランス
 (4)    利益の役割
     利益は、マーケティング、イノベーション、生産性などの面で成果をあげると

     その結果として生じるものである(これそのものは目的ではない)。
     ①    成果を確かめる役割。
     ②    不確実性というリスクを取った褒美。

7章 企業の目的と使命

  1. 顧客のウォンツ

    • 組織全員がビジョンと認識を持ち、足並みを揃えて努力する為には、「自社の事業は何か、何を事業にすべきか」を決めることが欠かせない。

    • 一方、顧客に満足を届ける(ウォンツを満足させる)ことが企業の目的と使命である。

    • 従って、「自社の事業は何か」への答えは、企業を顧客と市場の視点から眺めることで導き出される。まず、(1)顧客は誰か、(2)何が顧客にとっての価値かを問う。

  2. 顧客は誰か

    • カーペット業界の事例

      • カーペット業界は昔、マイホームの初回購入者を顧客とみなしていたが、贅沢品を買う余裕がなくなかなか売れなかった。

      • そこで、「顧客は誰か」を考えた末、住宅分譲業者を顧客として取り込むことにした。

    • カーペットで覆うなら床材は荒くてもよく、コスト削減につながるのでよく売れた。

    • 顧客は誰かへの答えは通常はひとつに限らない。また、顧客はどこに居るかの問いも大切である。

  3. 何が顧客にとっての価値か

    • 顧客は製品そのものではなく、ウォンツの満足を買っている。しかし、製造元ができるのは製品を作ること。だから、この問いの必要に気付かない。

    • 潤滑剤製造業者の事例

      • ブルドーザー用潤滑剤を製造し、品質には定評があったのに伸びなかった。

      • そこで、「顧客は何を高く評価するか」を考え、「機械を故障なく使い続ける」ことであると分かった。

      •  潤滑油の販売を止め、代わりに「潤滑油がらみで不稼働が生じた場合の損失を負担する」と提案してうまくいった。

  4. 次に

    • 自社の事業は何かを問うべきタイミングは、まず危機に瀕した時。また、製品に人気が出始めた時や業績が波に乗っている時等、目標を達成できたときにこそ真剣に考えなければならない。

    • 事業の目的と使命を定めても、その定義に寿命がある。それはせいぜい10年であるから、次に「何を事業にすべきか」という問いに挑む必要がある(⇒10章へ)。

    • 何を事業にすべきかは、市場の可能性とトレンドが出発点となる。最も重要なトレンドは人口動態だ。

    • また、消費者のウォンツのうち、現状の製品やサービスでは満たされない者は何かを自問することも大切。

    • 古い事業からの撤退についても計画的すすめなければならない。

 

 

8章 目標の威力と狙い :マークス・アンド・スペンサーの軌跡と教訓

  1. 目標を揚げて成果につなげる

    • M&Sが繁栄したのは、「何が事業化、何を事業にすべきか」に関する定義をもとに目標をいくつも揚げ、それらを成果につなげたからである。

    • M&Aの目標

      • まず、戦略上の基本目標を、「アパレルに特化する」と設定した。

      • 次に、イノベーション目標を設定し、新しい繊維、混紡、染料、加工法などを開発した。

      • マーケティング面でのイノベーション目標を立て、消費者調査を手掛けた。

      • 小売店舗拡充や、生産性の目標も立てた。

      • しかし、利益目標は立てなかった。利益は目標ではなく、正しく物事を進めた結果であり、要件だと捉えたため、利益の目標はいっさい立てなかった。

  2. M&Aからの教訓

    • 目標の要件は以下である。

      1. 目標は基本戦略だ。そもそも事業内容は何か、目的と使命は何かとの問いの答えは目標に反映させなければ無意味である。

      2. 目標は実務に根ざしていなくてはならない。具体的な達成内容や仕事の割り振りへと落とし込めなくては意味がない。

      3. 目標は経営資源や努力を特定分野に集中するのに役立てるべきだ。

      4. 目標は複数であるべきだ。

    • 目標は、マーケティング、イノベーション、人的資源、財務資源、物的資源、生産性、社会的責任、必要利益額の主要8分野で定める。

9章 戦略、目標、優先順位、仕事の割り振り

  1. マーケティング目標

    • マーケティング成果をあげるためには以下の諸項目についての目標が必要になる。

      1. 既存の市場における既存の製品やサービス

      2. 製品、サービス、市場などにまつわる過去との決別

      3. 既存市場の新しい製品とサービス

      4. 新規市場

      5. 流通組織

      6. サービスの基準と成果

      7. 与信の基準と成果など

    • マーケティング目標を決めるために、以下の2つの重要な土台が必要である。

      1. 集中化についての意思決定

        • 目標は「戦略」であり、集中化の判断は「方針」であり、いわばどの土俵に上がるかという判断である。

        • 集中化戦略は大きなリスクが伴うため、市場の動向や変化を睨みながら繰り返し検証しなくてはいけない。

      2. 市場での地位をめぐる判断

        • 市場シェアの小さい企業はいずれ片隅に追いやられる。かと言って1社だけが君臨すると競争が損なわれて市場の拡大が鈍るため、それもマイナスである。

        • 市場で目指すべきは、最大ではなく最適な地位である。

  2. イノベーション目標

    • あらゆる企業は、主に3つのイノベーションに関わる

      1. 製品イノベーション :製品やサービスのイノベーション

      2. 社会イノベーション :市場や顧客行動、顧客価値のイノベーション

      3. マネジメント・イノベーション :製品やサービスを開発し、市場に届けるための多彩な技能や活動のイノベーション

    • イノベーション目標設定するうえでは、

      1. マーケティング目標を達成するためにはどのようなイノベーションが必要かを考え、

      2. 事業と活動領域における技術の進歩にもとづく動きを、今後起きそうなものを含めて評価しなければならない。

  3. 人的資源目標、(4) 財務資源目標、(5) 物的資源目標

    • このうち、人的資源と資本は「マーケティング系の分野」といえる。すなわち企業は雇用機会と投資機会をマーケティングする。

      1. 人的資源 :求める人材を惹きつけ、つなぎとめておくためには、仕事はどのような条件を満たしているか、労働市場ではどのような人材が得られるか、人材に振り向けもらうために何をする必要があるか。

      2. 資本 :当社に投資してもらうには、どのような形態が望ましいか、必要な資本を確保しておくためには、銀行融資、長期社債、株式などどんな形態がよいか。

  4. 生産性目標

    • 土地、労働力、資本の3つのそれぞれについて、そして全体について生産性の目標が必要。

      1. いくつもの尺度を用いて、3つの生産要素全てを網羅する。

      2. かりに誤ったトレードオフにより、ある要素の生産性を上げるために他を犠牲にするようなことがあれば、全体の生産性は悪化する。

    • 定量的目標~貢献価値 :総売上高から原材料・サービスへの対価を差し引いた金額。

    • 定性的目標~組織構造、知識の活用、将来における経営の質など。

  5. 社会的責任目標 :企業は必要性、有用性、生産性が高いと社会から認められないと存続できない。(企業の規模にかかわらず)⇒詳細は「社会への影響と社会的責任」

  6. 利益

    • 上記7つの目標を検討した後に、以下の「利益の社会・経済面での役割」を果たすのに必要な利益を考える。

      1. 事業継続コストを賄うための上乗せ利益(リスク・プレミアム)

      2. 将来の雇用を賄うための資本の源泉

      3. イノベーションと経済成長を後押しするための資本の源泉

    • 利益プランは「利益の最大化」ではなく、資本コストに基づいて作られるべきである。

  7. 予算

    • それぞれの目標は調和のとれたものでなければならず、そのための道具が予算、とりわけ管理支出と設備投資である。

      1. 賃金などの変動費が重視されがちであるが、変動費はコントロールの余地が小さい。経営陣がコントロールできるのは管理支出と設備投資である。

      2. この2つは、経営資源を将来のために投資するものだといえる。

      3. 具体的には、生産設備・機械、研究活動、商品計画、製品開発、人材開発、メネジメント、組織、顧客サービス、広告などへの支出である。

10章 戦略的プランニング:起業家的な技能

  1. まず注意すべきこと~戦略的プランニングに含まないもの。

    • 戦略的プランニングは技巧の寄せ集めではなく、分析的な思考と経営資源の配分にある。

    • 戦略的プランニングは予測ではない。

    • 戦略的プランニングでは将来の判断は扱わない。将来を念頭に置きながら、現在の判断を下す。

    • 戦略的プランニングはリスクを取り除く試みではなく、リスクを最小化しようとの試みでもない。リスクを取ることこそ経済活動の本質だ。

  2. 戦略的プランニングとは

    • 将来についての知識を」総動員して起業家的な(リスクを伴う)判断をし、

    • その判断を実行するのに櫃よな努力を組織的に行い、

    • 判断の結果を秩序だったフィードバックをもとに測定する、たゆみないプロセスである。

  3. 戦略的プランニングにおける肝要な事柄

    • 目標の達成に向けて計画的に決然と仕事をする。

    • 第一歩として過去と決別する。

    • これまでと違った新しい試みを探求する。

    • 時間軸について考え、必要な時期までに結論をだすために着手すべき時期を考える。

  4. 全てを具体的な業務に落とし込むプランのままでは意思表明に過ぎない。プランが結果を生み出すためには、

  • 要となる人材を具体的な任務に割り当てる

  • 責任の所在、期限、結果の測定が求められる。~結果をフィードバックする。

11章 多彩な組織が支える社会

  1. 公的機関と企業内のサポート組織

    • 現代社会では、企業は様々な組織の1種類に過ぎず、政府、学校などの公的機関もやはりマネジメントを必要としている組織である。

    • しかし、経済活動や業績に直に関わるわけではない企業内の間接部門同様、公的機関も重荷であると感じられている。

    • 果たして貢献しているかどうか定かではなく、成果をどう測定すべきかもわからない。

  2. 公的機関やサポート部門のマネジメント

    • 公的機関は本来的にマネジメントに馴染まず、成果を上げることはできないという見方が広まっている場面もあるが、

    • だからと言って、それらをなくしてしまうことではなく、必要なことは適切なマネジメントを備えさせることである。

    • マネジメントをとおして公的機関の成果を高めるのは不可能ではない。実際、先進国社会においては今後、公的機関をマネジメントすることを、マネジメントの中心的課題、そして最大のニーズとみなす傾向が強まっていくだろう。

  3. そのマネジメントの内容

    • そのマネジメントの内容は、「社会的責任」である。

    • マネジャーの仕事や任務、組織の抗争や仕組みなどは民間企業と実質的な違いはない。ただし、その「務め」は民間企業のそれとは異なる。目的や理念も異なる。

    • そのため、マネジメントの理論は公的機関を網羅するまで研究が進んでいない。

12章 公的機関はなぜ成果を生まないのか

  1. 公的機関が成果を生まない理由として、3つが指摘されるが、それらは下に示す通り「言い訳」に過ぎない。

    • 上層部にビジネス感覚が欠けている

      •  ビジネスライクになれというのは公的機関への処方箋としては適切ではない。

      •  ビジネスライクになればコストが下がる可能性はあるが、その代わり組織目的を果たすために欠かせないサービスが効率化という名目のもとに軽視されかねないからである。(だから、この指摘は妥当ではない)

    • よりよい人材が求められている

      • ​ 欠点は人材ではなく制度にある。(だから、人材が不足しているから成果を生めないとの理由は言い訳に過ぎない)

    • 目標と結果が目に見えない

      •  目に見える目標に置き換えることは可能だ。

      •  例えば、教会が掲げる「魂の救済」という目標は結果が目に見えないが、礼拝の週刊を取り戻す若者の数などは測定できるはず。(目に見えない・・とは、見ようとしていないだけである)

  2. 予算がもたらす誤り

    • 企業は顧客に満足をもたらすことをとおして、その対価を得て収入としているが、公的機関では、企業の収入に当たるものが予算であると間違って解釈され、より多くの予算を獲得することが成果であると誤解されている。

    • 企業の場合には、成果は市場への貢献や目標の達成度を意味し、公的機関の場合は、それ(市場にあたるもの)は納税者である。従って、公的機関の本来の成果は納税者への貢献で測られるべきだ。

    • 彼らが捉える成果と本来の貢献が食い違っている。

  3. 効率がアダになる局面

    • 予算をもとに活動する組織の重要性は、基本的には予算の大きさと人員によって測られるため、少ない予算や人員で結果を出したとしても、優れた活動をしたことにならず、むしろ組織の存続を危うくする。

  4. 稼いだ収入VS当然の収入

    • 企業は、満足しない或いは関心のない顧客からは対価を得られないため、自力で稼がなくてはならない。一方、公的機関の予算は当然のように与えられる。

    • かと言って、予算で対応する仕組みは悪ではなく、必要なもの。だから、範囲を絞ったり、影響を和らげるなどして欠点を補ったりする必要がある。

 

13章 例外とそこから得られる教訓

  1. いくつかの例外・・・「公的機関はなぜ成果を生まないのか」の例外。いずれも公的機関であってもマネジメント次第で成果をあげられることを示している。

    • AT&T

      • 事業は何か、何を事業にすべきかと問い、「当社の事業はサービスである」に到達した。これにより、独占的事業体であるにもかかわらず活動成果が方向付けられた。

      • サービス満足の基準を設けたからこそ、各地域マネジャーが全米規模で競争するようになった。

      • 規制当局を利害関係者と位置付けて、当局をうまく機能させる努力をした。

    • アメリカの大学

      • 1860年代から第一次大戦期にかけて設立された大学は、それぞれ異なる目的や使命をもっていたが、従来とは一線を画する真の大学を生み出すという点については、共通目標をかかげた。

      • そして、それらを果たすために邁進した。

      • 彼らは、多数の利害関係者を満足させなければならず、それぞれの大学観にも開きがあったが、共通の目標のために妥協することを心得ていた。

    • リリエンソール指揮下のTVA(テネシー川流域開発公社)

      • TVAの本分を「高効率の発電所を設けて電力不足に苦しむ地域に潤沢な電力をやすく供給すること」と明確に定めてこれを優先した。

      • ほかの全ては、この本分に従属するものだった。

    • 明治日本の教訓

      • 成功の秘訣は、明治時代の日本人が目標を徹底的に考え抜き、少数の優先事項を決め、それら集中しようとの意欲をもっていたことにある。

  2. 市場のアプローチと社会主義競争

    • 市場アプローチは資本主義的とみられているが、社会主義的にもなりえる。

      • 米国企業の所有権はかなりの程度まで、投資信託や年金基金などによって、社会化されている。

    • 社会主義競争とは(オスカー・ランゲ:ポーランド出身マルクス主義者)

      • 生産手段は社会全体によって共有されて資本家はいなくなる。

      • そんな中でも、企業は独自のマネジメントで自律性を持ち、市場経済の中で競争することができる。

      • 経営資源の配分は市場による成果や実績の検証をもとに行わなければならない。

        • サブノート作成者「とかるや」の注釈 :つまり、資本が私的な所有から社会化された所有形態に変わっても、成果を生み出しているように、公的機関であっても自律的なマネジメントを実行すれば成果をあげることが可能である。

  3. 市場の限界

    • もちろん公的機関にもさまざまな種類があり、一様に上記のことが言えるわけではない。

    • 公的機関に共通するのは、競争市場での検証にさらすわけにはいかないという点だけ。

  4. 公共政策の限界

    • これまで、資本主義者、社会主義者とも、市場で成果を検証できない場合には、公共政策が指針を示し統制をおこなえるとしてきた。

    • しかし、それだけでは足りず、設立者が用意した枠組みを超えて刷新していく力を備えた制度や組織が必要だ。公共政策だけで公的機関が自律的なマネジメントを行うようになるとは言えない。

    • 明治維新以降の日本ではそれがたりなかったため、明治のリーダーが独立を守る手段として設定したものが後に自己目的化し、やがて日本を大きな不幸へ導いた。

 

14章 公的機関の成果を高めるマネジメント

  1. 13章の教訓を受け、公的機関は以下を行うべきだ

    • 何が本分か何を本分にすべきかを見極める

    • 役割や使命の定義をもとに明快な目標を導き出す

    • 優先事項が何かを検討する

    • 成果の尺度を設ける

    • 尺度をもとに、成果に基づく自己管理を根付かせる

    • 目的に合わなくなった目標、実現不可能になった目標を洗い出す

      • 上記のうち⑥が最も重要である。何故なら、公的機関は民間企業のように市場での検証にさらされないので過去の成功にしがみつきがちだからだ。

      • 公的機関の成果を高めるには、非凡な人材ではなく制度である。

  2. 3種類の公的機関
    上記は公的機関の種類ごとに違う。下記3種類に分類できる。

    • 自然独占企業(電話、電力など)

    • 予算配分を受けそれを収入源とする組織(学校など)

    • 手段を目的と同じくらい重視し、同質性を命とする政府機関(司法、国防など)

  3. 上記の種類ごとの具体的ニーズ

    • 自然独占企業

      • 企業として当然の活動を行いさえすればよい。ただし極めて体系的に取り組まなければならない。

      • これらの事業は、民間に委ねずに、厳しく規制すべきだ。

    • 予算配分を受ける組織

      • このタイプは先進国における公的機関の典型。発展途上国では独占企業と政府機関が主流で、経済・社会が発展する過程ではこの種の公的機関の実績が重要。

      • ランゲの提唱した社会主義競争が求められる。(⇒第13章参照)

    • 同質性を命とする政府機関

      • 自主性の高いマネジメントは実現不可能であり、競争には適さない。

      • 政府による直接の管理・運営が必要である。

      • したがって、第三者による体系的な監査をする必要がある。(自己規律のための方法は分析と監査だけである)

             ・・・・・・・・・・・・・・以上は第1巻

                          続きは近日中にUPします。​

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